ラベンダー畑の四季 ( フレグラントガーデン )
獅子吼高原の風や陽射しを肌に感じながら、ラベンダーたちの世話をしていると一年があっという間に過ぎていきます。
棚田の景観にふさわしく、ラベンダー畑はとても美しい香りがします。そして私はここをフレグラントガーデンと呼ぶことにしました。
苗作りから定植へ
挿し穂の根が立派に出てきました。少し大きめのポットに移植します。赤ちゃん苗をいたわり、励ましながらポットへの移植です。
急激な温度変化はストレスになるはずです。とはいえ、5月に棚田のラベンダー畑へ定植です。過保護はいけません。
棚田に根をおろして、花の準備をしている姿は愛おしく、おはよう ! 元気 ? の挨拶から手入れが始まります。
ラベンダー開花(6月初旬~7月中旬)
ラベンダーは主に蒸留してエッセンシャルオイルと芳香蒸留水を抽出します。
二分咲きの頃はドライフラワー用に刈り取ります。クラフト講習や摘み取り体験は多くの方々に楽しんで頂いてます。
甘く漂う香りに蜜蜂や蝶が舞うフレグラントガーデンの美しい季節。早咲き種から遅咲き種まで1か月ほどの美しいとき。
ラベンダーブルーの心ときめく香りの宝石箱はあっと言う間に閉じられてしまいます。
ラベンダーの蒸留
今年のラベンダーからどんな香りが生まれるのだろう。とワクワクしながら花穂を摘み取ります。ラベンダーの香りの満ちる蒸留室で蒸留作業を繰り返します。 それは植物の恵みに感謝と敬意を払っての作業です。各サロンではラベンダークラフトと蒸留器を用いて、エッセンシャルオイルや芳香蒸留水の抽出をおこなうアロマ体験を楽しんで頂けます。
フレグラントガーデンの手入れ
里山や棚田といった環境と景観に配慮して、除草剤や化学肥料を一切使用せずにラベンダーを栽培しています。
プロヴァンスブルーは成長が早く大型になり、高温にも強いといわれる品種です。
近年は5月から30度を超える猛暑つづきで、草防除のためのマルチの中の温度がとても心配です。とんでもない高温のはずですが、元気です。
カマキリの卵を見つけたら大切に残します。彼らはラベンダー畑の警備員です。アオムシ君グッバイ !
棚田の土手は匍匐性の植物であるローマンカモミール・タイム・姫ツルそば・姫岩垂草で土砂崩れと雑草の防除しています
ヒダサンショウウオの幼体に出会いました。幼さを感じる愛らしい手足、赤いえらは自慢げでまん丸お目めは、あのウーパールーパーのように愛くるしい。
棚田を潤す山麓の湧水は清らかでサンショウウオの棲家なのでしょうか。早朝はキジの鳴き声。棚田を見回る合図です。
ミツバチさん、極上のラベンダー蜜のお味はいかがですか? いつか分けて頂けませんか?
フレグラントガーデンの冬支度
晩秋白山が初冠雪を迎える頃、棚田のラベンダーたちの葉は少し赤みがでてきます。大株を縄でまとめるのは、雪で枝が割けるのを防ぐため。
フレグラントガーデンの冬
棚田は、雪が1m近く積ることがあります。
この雪はラベンダーたちを冬の冷たい風から守り、凍ってしまうのを防いでくれます。
スッポリ雪におおわれたラベンダーたちはジッと、春を待ちます。
フレグラントガーデンの春
ときめきの春、スプリング・エフェメラル。冬枯れの棚田が優しい彩りで輝きだします。
雪の重さに耐えていたラベンダーたちは春の日差しに姿を整えます。
棚田のラベンダー畑の一年がはじまります。
雪解け後の、ラベンダーとの再会はドキドキです。秋の手入れを間違えて、ほぼ全滅なんてこともありました。寒さで赤くなっていたラベンダーの葉は、
新芽とともに葉色を整え、枝々はしなやかさを取り戻します。早春のラベンダー畑はミラクル。
棚田のご近所様。パワースポットでもある白山比咩神社があります。人と人とを結びつける神様、菊理媛尊(くくり姫様)にあやかった胸がキュンとする恋愛成就を願う「しあわせくくり旅」はラベンダーたちも応援しています。また蓬莱祭りで有名な金剣宮は、ユニークな造り物(大きな人形)を創り豊作を祝うお祭りですが、祭りの後、棚田のフレグラントガーデンを通って「造りもの館」に展示されます。そして「空を自由に飛びたい」と願う人々が夢を叶える基地が獅子吼高原にはあります。パラグライダーで日本海だって眼下に見渡せます。
生産者の想い
棚田の利活用でソーシャルなラベンダー栽培
アロマの里@獅子吼は、環境社会活動の一環として「棚田へのラベンダーの植栽による、美しく香しい里山づくり」で豊かな自然を守り、美しい里山維持・保全に努めていきたいと考えます。歴史ある里山の保全活動が更に充実し、暮らしに役立てられますことを願っています。
いしかわ版里山づくりISO認証を取得
谷本正憲石川県知事より認証書交付 (平成27年5月15日)
アロマの里@獅子吼の「棚田へのラベンダーの植栽による美しく香しい里山づくり」がいしかわ版里山づくりISOに認証されました。
ラベンダーを有用な作付け作物として休耕田の利活用に取り組んでいきます。
私の願い
私はラベンダーのしなやかな美しさに魅かれ、白山麓にあるハーブ園でラベンダークラフトの講師をしていました。
平成22年春、獅子吼高原のどこか懐かしさを感じる棚田に出会い、ラベンダーを育ててみようと思いました。
その棚田は、歴史を感じさせる里山の趣きがあり、とても静かで里の木々は薫り高く澄みわたっていました。
以前は稲が育ち季節の色どりにあふれる日本の原風景が広がっていたことでしょう。
獅子吼の風をあつめてそよぐ稲穂の姿は夢のようです。今、私の願いは、一枚一枚の棚田をラベンダーブルーにパッチワークしていくことです。ラベンダーの豊かな表情にはいつも新鮮な感動があり、抒情的な花姿は心を優しくときほぐし幸福感でいっぱいにしてくれます。四季折々、棚田のラベンダー畑(フレグラントガーデン)の情景を皆様にお伝えできたら幸いです。 アロマの里@獅子吼 三宅純子